情報コントロールパワーとコミュニケーション

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 - 情報コントロールパワーとコミュニケーション -

 ここでは、情報コントロールとコミュニケーションについて考察し、文章表現やプレゼンテーション及び図解表現の基本的テクニックを理解します。
■ クライアントニーズに対応できるコミュニケーション能力のポイント
クライアントのニーズを把握するためには、クライアントの現場の実態を正確に把握し、現場の業務が理解できなければなりません。

□ 現場業務ヒアリング時には相手の事情・背景を十分に把握する
クライアントニーズに答えうるシステムを構築するには、いかにクライアントの要望を聞き出し、いかにわかりやすくかつ正確にシステム開発側へニーズを伝達できるかという情報コントロール能力とコミュニケーション能力の発揮がポイントになります。ここでは、まず、「聞く」「話す」「書く」というコミュニケーションの基本的スキルの向上を図る必要があります。特に、プレゼンテーション能力は、システムが完成するまでは形のない実体をいかにクライアント企業のトップや管理者に理解してもらうかという点で、重要な表現手段となります。
システムの要件を定義するためには、クライアントの現場における調査・分析を行う必要があります。ヒアリングでは、なぜ、そのような業務が存在するのか、他のもっとよい方法はないのか、その業務は、付加価値を生み出しているのか、といった切り口で、現場業務の実態にメスを入れる必要があります。現場業務に精通するためには、対象とする案件の業界知識や慣習、企業文化などを十分に理解しなければなりません。その業務が存在する背景をじっくり探るスタンスがここでは要求されます。
事象の背景には、幾層もからなる、そのクライアント企業の文化やルール、慣習などが足かせとなっている場合も多々あります。現場業務を単なる合理的な発想のみで判断すると、それに慣れ親しんだ現場からの反発を受けることもあり、注意が必要です。業務改革の視点は、情報化では重要な武器となりますが、クライアント企業の文化や既得権の構図などを無視して、ダイレクトに現場業務に批判的な発言を繰り返すと、クライアント企業とITベンダー間での信頼関係が損なわれることが往々にして発生しがちです。現場でのヒアリングでは、相手の事情を配慮した細心の注意が望まれます。

□事実と価値判断は明確に分別する
 しかも、ここで、留意すべきことは、現場で収集した情報は、事実なのか、あるいは、事実に様々な価値判断の混ざった情報なのかという点を見極める能力を発揮することが不可欠であるということです。この点は、情報コントロールの要ともいえるものです。事実=ファクト(FACT)であり、情報の中から事実を的確に掴み取ることができないと、システムの要件定義に後々、大きな影響を及ぼすことになります。誤った情報の蓄積をもとにして、システム要件の定義を行ってしまうと、ものはできたが、クライアントのニーズや現場の実態を反映できないシステムができあがってしまうことにもなりかねません。
特に、ヒアリング時に、専門外の経営用語や業務用語がクライアント側の担当者や経営者から飛び出してくると、SEは、話を聞いているうちに、クライアントの話す内容が理解できず、場合によっては、自分の乏しい知識で、勝手な解釈をしてしまうことがよくあります。
 このようなケースに直面した場合は、まず、事実かどうかを相手のクライアントにしっかりと確認するとともに、意味の不明な用語は、ノートに書き留め、クライアント側の担当者や経営者に繰り返して質問する勇気も必要です。意味のわからないまま、ヒアリングを続けていると、相手のクライアントはわかったものと思い込んで、双方のコミュニケーションギャップが次第に大きくなり、暗黙のうちに取り返しのつかない状況に追い込まれてしまうこともあります。

□情報共有化におけるルール化のポイント
 いっぽう、ヒアリング時に収集した現場情報は、しっかりノートに書き留め、図表化し、体系的な情報の蓄積と管理を図る必要があります。項目間の特徴や相違する点を明確にしたり、注意すべき事項は太字や赤字で強調し、メンバー間で活用しやすい情報加工を施す工夫も大切です。
ただし、ここで、勝手な解釈や価値判断を加えた情報に加工してしまうと、かえってこれらの情報を閲覧する他のメンバーに謝った判断や情報を与えるリスクにもつながりかねません。情報の共有化においては、事実(ファクト)と価値判断は明確に分別して表現して、情報管理を行う仕組みをメンバー間で、ルール化し、徹底を図らなければなりません。
 これらのヒアリング情報は、電子化を図り、チームのメンバー間で共有する仕組みも不可欠といえるでしょう。いつ、どこで、だれと、なにを目的として、どのような情報を収集したのかということをフォーマット化して、情報管理の徹底を図ることがプロジェクトのナレッジ・マネジメントには要求されます。

  • プレゼンテーション能力を磨くスキル-

ここでは、SEがクライアント企業の経営トップや幹部、管理職のメンバーの前で効果的なプレゼンテーションを行うための基本的スキルをマスターします。

□プレゼンテーションの準備手順
 効果的なプレゼンテーションを行うためには次のような適切な準備が必要です。

 話の筋立てには、序論、本論、結論からなる三段論法の方法があります。

□ 効果的な話し方と発問及び応答のテクニック
 取り上げる事例は身近なわかりやすいものを具体的に説明することが必要です。実体験にもとづいた裏付けのある事例は説得力があり,効果的です。話す内容には重複がないように要点をおさえ,筋立てをはっきりとしておきます。あいまいな表現やまわりくどい説明は避けます。話し方の基本と効果的な説明のテクニックとして、次のような内容に留意することが必要です。□ 発問の方法
 話し手が聞き手に質問を投げかけることを発問と呼んでいます。聞き手を話しに巻き込んだり,興味をもたせるために有効な方法です。
 発問の種類   特        徴
①指名発問 回答者を指名して質問。
②リレー発問 座っている席などの順番に質問
③全員対象発問 聞き手の全員に考える時間を与えた後で,指名して回答。最後に回答が他にないかを全員に確認。
④自問自答型発問 一旦問題を出して,間をおいてから話し手が答えをいう。
⑤投返し発問 質問の意味が不明または主張による質問がある場合に,再度質問させたり,主張を述べさせる。

□質問や意見への対応の方法
 質問や意見への応答のテクニックには次のものがあります。