図解ITマネジメント&BSC



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図解 IT戦略マネジメント入門(改訂最新版)

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―ITマネジメント

シリコンバレーの神経系ネットワーク

米国のハイテクの集積地域であるシリコンバレーは情報産業のリード役を果たしています。ここでは、インターネットがビジネス活動の神経系のネットワークとして、ビジネスマンにとって、必須のツールです。従来型の経営においては、トップからの経営戦略、事業戦略からの指示のもとに各個人がビジネスの絵を描いてきたのが一般的でしょう。現在、必要な市場情報や製品情報、その他、ビジネス活動に必要な情報は、インターネットから引き出すことが可能で、その場での即断即決の意志決定のビジネススタイルを可能にします。この意味で、インターネットは組織のフラット化とプルスタイル(引っぱり型)の情報活用を加速化させていると言え、情報が上位から下位に降りてくる階層型組織によるプッシュスタイル(押し出し型)とは、情報流通機能が全く違っています。インターネットのこのプル機能はシリコンバレーにおけるベンチャービジネスの新陳代謝を促すビジネスのインフラといえるでしょう。

○双方向コミュニケーションによる電子商取引市場の成長

このインターネットの持つ能動的なWebの機能は、ビジネスの分野のみならず、消費者に情報の発信者、受信者として、双方向のコミュニケーションに参加させ、消費者と企業が生み出す情報の蓄積と進化をもたらし、新たな付加価値を介した電子商取引市場の飛躍的な成長につながっています。

インターネットによって、Web上に現れる無数の情報から、新たなビジネスモデルによるサイバースペースでのビジネスが加速度的に生まれてきています。IT革命はコストがゼロに限りなく近いインターネットの情報を世界中に流通させ、売り手が潜在顧客を発見することが容易になり、製品・サービスにおける顧客の選択肢の幅は一気に拡大しました。 

サイバースペース上での電子流通による商品、サービスの新しいe マーケットプレイスは既存の店頭販売を始めとした従来のビジネスのやり方に対して市場撤退を迫ってきています。経営者はIT革命が経営の屋台骨を大きく揺るがしてきていることに危機感を持たざるを得ない時代に突入していることを認識しなければならないでしょう。



○ナレッジ重視型企業 

 IT革命は資本力の乏しい新規企業やニッチ企業を世界の電子市場に躍り出ることを可能にしました。資本力だけに頼った従来のビジネスモデルは競争優位性を失ってくる時代になってきています。アウトソーシングコア・コンピタンスの絶妙なバランスを経営の基本軸に据え、インターネットを事業の推進力に組み込めるナレッジ重視型の企業は21世紀をリードしていくe カンパニーとして勝ち組の土俵に残れるでしょう。最小の経営資源で最適化を図り、企業付加価値の最大化をいかなるビジネスモデルによって実現していくかという問いに明確なビジョンと実践力で答えうる経営者のみが資本市場で高い評価を受けることができるでしょう。

○購買行動の変化と顧客起点ベクトル

 一方、消費者と企業の購買行動は大きく変わりつつあります。インターネットで、製品や商品・サービスを選択・注文するのは利便性・コストの優位性から、購買スタイルとして定着してくるでしょう。このような顧客の変化の方向を機敏に捉え、顧客を起点ベクトルに据えた企業の業務プロセス、バリュー・チェーン(価値連鎖)にデザインシフトしていくことが新世紀型のビジネスモデルを追求していく基本的アプローチといえるでしょう。

 すなわち、従来のようにメーカ主導型の製品ありきの発想から脱却し、顧客ニーズを徹底して把握し、そこを起点にして業務プロセスをデザインするやり方への転換です。

 顧客へのサービス、顧客に到達するまでの物流、販売、生産、材料調達、製品設計、製品開発というように、源流に遡って、従来の業務プロセスの流れを逆転させて顧客の視点からビジネスモデルをデザインするというアプローチが重要です。

○ITマネジメントにおける視点とアプローチの転換

 このようなビジネスモデルを実現するためには、ITマネジメントはいかにあるべきでしょうか。限られた経営資源の中でいかにITを活用して、あるべきビジネスモデルをデザインしていくのかを検討していくうえで、従来のITマネジメントに取り組むときの視点とアプローチの基本的な有り方の転換を図っていく必要があります。具体的なところは次章以下で明らかにしていきますが、ハイパーエンジニアが目指すべきITマネジメントはコスト、品質、スピード、インターフェースの視点から戦略的かつシステム思考的な発想で情報化アプローチを検討していくことがポイントになります。従来、モノつくりの視点は品質、コスト、納期の枠ぐみの中でビジネスが行われてきました。

 しかし、IT革命時代においては、ビジネスに求められる最重要なファクターはスピード、及びインターネットを介して生まれるサイバービジネス空間における金、モノ、情報の流通性を決定するインターフェースの視点にシフトしてきています。製品やサービスにおける品質、コストはeビジネスの土俵に参加するためのパスポートとして企業が当然に備えるべきものという位置付けになって来ています。とくに、品質においては企業活動における事業リスクが多様化・複雑化する中で、製品やサービスを輩出するバックボーンとしての経営品質のレベルが問われてきています。

 ITエンジニアは、従来型のITマネジメント取り組みの視点からの脱却を図り、戦略的視点からITを経営に深く浸透させることができるようなITマネジメント能力を身につけていく必要があります。

 そのためには、問題及び課題発見型のITソリューションを経営的視点から駆使できるスキルが要求されます。MBAのシステム的戦略思考による発想力のレベルがITエンジニアの資質の評価基準として重要なファクターとなってくるでしょう。



―なぜIT化は失敗するのか

○戦略の運命共同体 

 それでは、ビジネスモデルの再構築や革新をどのようなアプローチで取り組んでいけばよいのでしょうか。ここでは、ビジネス活動におけるマネジメントおよびITマネジメントの2つの視点からIT化が失敗に帰する要因を検討してみましょう。

 情報化戦略はビジネスモデル特許が情報技術(IT)を活用した新規性のあるビジネスを対象としているという意味で、事業戦略に沿って、創造的なビジネスモデルをIT化でいかに実現していけばよいのかがポイントになります。特に、インターネットの活用における新規性のある仕組みが特許になるかどうかのキーになります。

 情報化戦略は事業戦略、経営戦略と連動し、整合性をもたなければ、トータルとしての経営効果は期待できないでしょう。これらすべての戦略は運命共同体といえるものです。いずれかが欠けたり、整合性が不充分な内容では、組織内部要因あるいは競合や技術革新、事業環境変化の外的要因によってビジネスモデルは音を立ててその基盤から崩れていく弱さを内在することになります。

 逆に、これらの戦略がうまく連携すれば、競合の企業に対する競争優位のみか、業界構造の創造的破壊による独占的ポジションの確立、新規のビジネスの創造さえ可能にするチャンスが狙えることも忘れてはならないでしょう。

○情報の共有化と組織力

 情報の共有化・シームレス化を進めていく上で、組織・部門間・協力会社間及び顧客との壁を取り除かなければ、情報の流通機能は作用せず、情報システムが孤立化して、いわゆる離れ小島の集まりの現象ができてしまうことになります。情報化を進める際、組織力学のアンバランスの問題は最も力点をおいて、十分な内外の組織・部門間のコンセンサスのもとにトップダウンで解決しておくべきものといえます。ここで、ハイセンスなプロジェクトマネジメント能力が問われるのはいうまでもないでしょう。

○システム的戦略思考の重要性

 いっぽうでは、現場の声高なニーズに振り回されて部分最適に陥っていた従来の情報化のアプローチからの脱却を図っていくことが重要です。マクロ的かつ鷹の目の視点で、全体最適化の企業活動のデザインをイメージできなければ、スピードとコストの追求は難しいでしょう。

 経営に深く関わってきている情報化において、システム的な戦略思考が特に重要です。米国の戦略の権威であるマイケル・ポーター氏は、戦略とはいかに競合に対し差別化を図れる競争優位なポジションを築きあげられるかをデザインすることであると言っています。競合に対し差別化できない情報システムは、負の遺産となるだけなのです。すなわち、システム思考による斬新なアイデアを情報システムに組み込み、ビジネスモデル特許で独占的ポジションを構築することが、経営的に競争優位に立つためのインフラ基盤の確保につながります。

 特に、企業にジャストフィットした経営管理手法を戦略的に導入・活用し、情報システムと連携させて、企業活動の仕組みそのものの戦略的ブラッシュ・アップを図っていくことが極めて重要です。いわゆる情報部門任せにしないユーザー参画型の環境作りが情報化の成否を決めるといえるでしょう。



○システム導入後の効果チェック体制の整備

 ここで見落としてはならないポイントは投資の狙いと情報システムの立ち上げ後の効果検証の組織的かつ継続的なフォローです。

 キャッシュフロー重視の経営の実践においては、経営効果を全社的にオーサライズされた客観的評価尺度で継続的にチェックする組織的な取り組みが不可欠です。当初の狙いに対して、達成できたところと達成できなかったところを明確にし、トップ及び関連部門を入れて、議論・反省を行ったうえで、システムの改善や運用方法の在り方の見直しを徹底することが重要です。情報化で失敗しているケースでは、この視点を忘れて、現場任せで、情報システムの絶えざる改善のサイクルができあがっていない企業が多いといえます。

 業務プロセス、組織構造、及び情報システムが事業環境の変化に追随して柔軟に変身を不断に図っていける仕組みが整備されているか、情報化の成否を決める重要なファクターはここにあるといえるでしょう。

―ITマネジメントのための経営における基本概念とは

○WIN−WINの構築

 ビジネスモデルの再構築や革新を推進していく前提条件として、組織や内外の関連する企業の垣根を越えた全体最適化の視点でビジネスモデル戦略を明確に打ち立て、全社的な共有化を図る体制作りが必要不可欠といえるでしょう。いわゆる企業間のB to B (BUSINESS TO BUSINESS)電子商取引のサプライ・チェーンをWIN-WINの関係で構築し、自社とサプライヤー(調達先)が相互のメリットを追求していくことが重要です。それではビジネスモデルの創造を目指した情報化戦略について考えてみましょう。

○オペレーション・マネジメントの最適化 

情報化の究極の目指すところは、ビジネスモデルの創造や革新を通じて、経営資源の最適化、コアコンピタンス(核となる競争力)の強化、競合優位の確立、顧客満足の最大化と収益力の強化を実現していくことであるといえます。

 経営とは、インプットとしての経営資源の最適化をいかに図り、アウトプットとしての企業の付加価値の最大化を実現すればよいのかという課題を、最適なマネジメントによるオペレーションをデザインし、実践を通じて解決していくことです。

 企業活動における人材、運転資金としてのキャッシュ、製品材料、生産のための設備、そして、それらをコントロールするためのベースとなる知識、ノウハウ、情報がインプットとしての経営資源です。一方、企業活動におけるアウトプットは顧客満足の最大化を目指すことであり、コストの最小化による企業収益大化のリターンが企業存続の条件です。

 ここで、最小限の経営資源のインプットに対する企業活動の結果としてのアウトプットの最大化をいかに実現していけばよいのかが情報化に与えられるべき課題といえます。オペレーション・マネジメントにおける最適化と競合に対する差別化を図っていくためには、人材・組織の見直しが重要であり、業務プロセスの革新も視野にいれなければなりません。企業付加価値の最大化達成の成否は、最適なバリューチェーンの再構築をいかに計画し、実現できるかにかかっているといえるでしょう。



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